スーツのラペル(襟)の形はどう選ぶ?ノッチ・ピーク・ショールの使い分け
スーツの「ラペル(lapel)」は、ジャケットの襟にあたる部分。見た目の印象を大きく左右する要素でありながら、選び方を知らないまま何となく着ている方も少なくありません。本記事では、3大ラペル「ノッチ・ピーク・ショール」の特徴と選び方を、歴史やシーン別に深掘りして解説します。

ノッチドラペル:最もベーシックで万能な襟
ノッチ(Notch)とは「切れ目」の意味。その名の通り、襟と下襟が90度ほどの角度でカットされたデザインです。シングルブレストスーツに最も多く使われる定番スタイルで、控えめながらも清潔感と誠実さを感じさせます。
歴史的には、19世紀末〜20世紀初頭のロンドンにおいて、ビジネス用途のジャケットとしてノッチドラペルが急速に普及しました。とくにサヴィル・ロウで仕立てられた市民階級向けのスーツにおいて、格式よりも汎用性と実用性が重視され、この形がスタンダードとなったのです。
出典:『The London Cut: Savile Row Bespoke Tailoring』James Sherwood(2007)ビジネス・面接・営業・日常使いなど。初めての1着にも最適。
ピークドラペル:存在感とフォーマルさの象徴
ピーク(Peak)は「山頂」の意。ラペルの先端が鋭く上向きに尖ったデザインで、格式と威厳を演出します。主にダブルブレストスーツやフォーマルスーツに用いられ、男性の肩幅を強調し、力強さや地位の高さを印象づけます。
19世紀中盤のヴィクトリア朝イギリスでは、タキシードやモーニングコートにピークドラペルが用いられ、上流階級のフォーマルウェアとしての地位を確立しました。現代でも、タキシードやダブルスーツの象徴的ディテールとして継承されています。
出典:『The Suit: A Machiavellian Approach to Men's Style』Nicholas Antongiavanni(2006)
昇進・受賞・結婚式・高級レストラン・ビジネスエグゼクティブ向け
ショールカラー:滑らかでエレガントな曲線美
ショールカラー(Shawl Collar)は、丸みを帯びた1枚襟のデザイン。燕尾服やディナージャケットなど、夜のフォーマルウェアに多く採用されます。ラウンジ感とエレガンスを兼ね備え、クラシックなイメージを大切にしたい人におすすめです。
ショールカラーは19世紀後半、男性の喫煙ジャケット(スモーキングジャケット)に用いられたのが起源です。ディナージャケットへと発展し、現代ではタキシードなどに使われる象徴的スタイルとなりました。
出典:『Gentleman: A Timeless Guide to Fashion』Bernhard Roetzel(2012)夜のパーティー・レッドカーペット・ガラディナー・クラシックホテル
ラペル選びの“戦略”とは
ラペルは、着る人の「第一印象」を形づくるフレームでもあります。たとえば、顔が丸い方はノッチやピークの直線的なラインで引き締まった印象に。逆に細顔の方は、ショールカラーで柔らかさを加えるとバランスが整います。
また、同じスーツでもラペルを変えるだけで「信頼される新人」から「貫禄ある上司」へと印象を変えることも可能です。Their Suits Clubhouseでは、襟の形状まで含めたスタイリング提案が可能です。
